作曲科の活動ブログ

[レポート]電子音楽スタジオスペシャルコンサート

 皆様、あけましておめでとうございます。今年も作曲科一同、創作に励んで参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 
 早速ですが、去る2016年1月12日、愛知県立芸術大学大合奏室にて、学部四年生と院生有志による『電子音楽スタジオ スペシャルコンサート』が開催されました。総勢9名の学生による電子音楽作品の上演、インスタレーション作品の展示等が行われ、普段とは一風変わったコンサートとなりました。 
 会場に赴くと、大合奏室入り口には関光穂さんによるインスタレーション作品《a(m+d)=7871》の展示を体験することができました。ホールへと続く小さな小部屋に、光るお手玉がいくつか設置されており、お手玉を握ると空間に流れていた神秘的な音楽に変化が起こる、といった作品でした。因に、タイトル《a(m+d)=7871》は「まだ名はない」と読むそうです。タイトルにも、作曲者のアイデアが溢れる非常に神秘的な作品でした。 
 コンサートが始まり、一つ目の作品は上符夏実さん作曲の《Sans titre》です。There is no answer、Abstract、Continuity、Deconstruction、Incomplete。この5つのキーワードをもとに創作された被服のデザイン画とピアノ。スクリーンを使い、視覚的効果に加え、音加工を施され普段は聴く事の出来ないピアノの音響も楽しむ事ができる作品でした。それでいてどこか不安な気持ちにさせるような雰囲気も感じられました。
 二つ目の作品は兒玉苑香さんによる《似せ雅楽》。兒玉さん本人による生の笙演奏から始まり、多数のスピーカーを用いて不思議な空間を創り上げていました。1200年以上も前から演奏されている雅楽と電子音楽のコラボレーションが、新しい形の雅楽を表現していました。 
 三つ目の作品は藤田弘文さんの《へびつかい》です。リコーダーの不安定な音と、可愛くも思える複雑みを帯びた電子音響、さらに、作曲者である彼自身の遊び心が、心地よい空間を産み出していました。タイトルは完成後に、より親しみやすいものに、と変更を施したそうです。
 四つ目の作品は羽鳥沙也夏さんの《断片》。Clarinetと8chスピーカーによる作品でした。いくつものフレーズが同時に、バラバラに、移動しながら現れる。Clarinetにより引き起こされる変化を、全身で感じ取れる、とても躍動感溢れる作品となっていました。親しみやすい雰囲気の音楽に、作曲者らしさが垣間見えていました。
 休憩を挟んで五つ目の作品は田丸優奈さんによる《水中浮遊》です。自作のピアノ作品にあらゆる音響効果を施し、また一風変わったピアノ曲へとアレンジされていました。残響の増幅や、エコーによる効果によって、ふわふわとしたピアノの音を楽しむことができました。作曲者は「音が漂う感じ」を創造し作品を創作したそうです。
 六つ目の作品は天野知亜紀さんの《わらい》です。スクリーンに映された笑いの「ハ」の映像と、多方のスピーカーから流れる笑い声に、思わずこちらも笑みがこぼれてしまう、そんな作品となっていました。たくさんの「笑い」は天野さんがライブ感覚で発生させていたようでしたが、その天野さんの表情にも目が離せませんでした。
 七つ目の作品は藤田将弥さんによる《びぃどろ》です。作曲者本人による赤ワインボトル演奏と電子音響のための作品でした。作曲者の藤田さんは酸欠になりながらも、赤ワインボトルを吹き続け、会場に不安定で、緊張感のある空間をつくり出してくれました。 
 コンサートの最後を飾ったのは井手上和央さんの《一人アイドル“和音ナオ”》でした。作詞作曲歌録音編集照明、全てを一人で行ってしまうワンマンアイドル“和音ナオ”によるデビュー兼引退ライブが開かれ、会場はもりあがりました。これまでにはなかったような雰囲気の作曲科コンサートに戸惑っている方もいらっしゃいましたが、ライブは無事、大成功を収めました。
 今回は電子音楽作品を中心とした作品コンサートでした。作曲者一人一人の個性が光るコンサートとなりました。今後も作曲科の活動にご期待ください。
《a(m+d)=7871》
(文責:M2年 上原)

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