作曲科の活動ブログ

【レポート】レクチャー・コンサート 私たちの地中海

2015年11月4日、本学オペラ・合唱室にて、レクチャー・コンサート『私たちの地中海 The Mediterranean inside us』が開催されました。このイベントは、フィンランド人チェンバロ奏者アッシ・カルットゥネンさんと、オランダ人ギター奏者ローディー・ファン=ヘーマートさんによるコンサート・ツアーに付随して行われたもので、東京オペラシティ(東京、11月2日)およびエリザベト音楽大学(広島、同6日)においても、同様の会が催されています。
 コンサートは、ギター・ソロによる《First Delphic Hymn to Apollo c. 128 BCE》(編曲:グラハム・リンチ)で幕を開けました。紀元前のギリシアで作られたこの断章は、もとは簡素な旋律をもった声楽曲ですが、さまざまな技法を駆使したアレンジにより、古代ギリシアの音律がもつ独特の響きと、ギターの魅力的な音色とが活き活きと伝わってきました。つづいて、マシュー・ウィトール《The Wine-dark sea Ⅳ》、ユッハ・T・コスキネン《Der Bau & Cinq fontaines de la Fortune》、グラハム・リンチ《Beyond the River God》(抜粋)と、フィンランド在住/出身の70年代生まれの作曲家による作品が演奏され、曲間では演奏者のお二人が自ら解説をされました。チェンバロとギターというあまり一般的でない編成のなかで、さまざまなカラーを持ったいくつもの新しい音楽を体験でき、聴衆にとって非常に貴重な機会となりました。
 これらの作品群の後に演奏されたハリー・パーチ《Two Studies on Ancient Greek Scales》は、タイトルの通り古代ギリシアの音階を用いて書かれた作品です。今回はヘーマートさんご自身によるアレンジで披露され、バロック・チューニングのチェンバロと、ギター上のハーモニクスの多用とによって、精密なギリシア音階に基づいた、伝統的かつ新しい音世界が現出しました。最後に、イタリア出身フィンランド在住の作曲家、パオラ・リヴォールシ氏の新作《Tombeau》が演奏されました。こちらの作品は演奏者のお二人からの委嘱を受け、『私たちの地中海』のプログラムのために書かれたもので、今日の地中海周辺をめぐる状況、とりわけ難民の姿に取材しています。古代ギリシアに出発して現代の中東およびヨーロッパへと辿り来る、まさしく〈地中海〉を通時的に見つめるコンサートとなりました。
 終演後は、作曲専攻の学生から編曲のプロセスや楽器の特性などについて質問がなされ、和気あいあいとした雰囲気のなかで、お二人がそれらへ丁寧に答えてくださいました。

(文責:M2年 武藤)

2015
【レポート】作曲家チナリー・ウン教授のレクチャーとミニコンサート。
【レポート】レクチャー・コンサート 私たちの地中海
[レポート] 第五回山本門下試演会
[レポート]三年作曲作品発表会
[レポート]波のカタチ ~Wave Audio Visual Electronics~
[レポート] 試演ぱん Vol.2
【レポート】イカの墨 vol.4
【レポート】第716回学内演奏会(作曲)
【レポート】アーティスト・イン・レジデンス2014
【レポート】狂い咲き(2015)
【レポート】とめクラス試演会(2015)