作曲科の活動ブログ

【レポート】第716回学内演奏会(作曲)

 4月28日(火)、愛知県立芸術大学 奏楽堂にて第716回作曲専攻学内演奏会が行われました。この学内演奏会は毎年、学部四年の作曲専攻生が出品する演奏会です。
 今年の学内演奏会も外部からの来場者が多く、緊張感のある演奏会となりました。

 まず最初に演奏されたのは、藤田将弥さんによる『一人遊び、空想。』。ピアノと複数のスピーカーを用いたライブ性に富んだ作品で、ステージと客席の境界線を不安定にさせ聴衆を新たな空間へと引きずり込む遊び心溢れる作品でした。
 第2番は田丸優奈さん作品『厄』が彼女自身の演奏によって発表されました。彼女に訪れた「厄」を表現するようにH音から派生する不協和音の数々、彼女の一音への集中力に、会場全体が緊張していました。
 ピアノ独奏曲を経て、次に発表されたのは藤田弘文さんの『湖面を奔る影〜16人の奏者のための〜』。多彩なパーカッションに煽られるように管弦楽は不気味かつ神秘的な響きを生み出していき、なおかつ充分な満足感の得られる一曲、という印象でした。
 そして前半最後の曲は、上符夏実さんの作品『La Pentecostal de la reverie』です。作曲者の詩に対する解釈を深く感じ取れるとともに、6人奏者の一体感のある響きを楽しむことのできる作品でした。

 後半は、今回の学内演奏会のために結成された作曲学内特設オーケストラによる演奏も楽しめるステージとなりました。
 後半最初の作品は羽鳥沙也夏さんの『受容と排他の先〜チューブラーベルズ小協奏曲〜』でした。ベルとオーケストラの協奏は彼女の作曲意図を良く汲み取り、個々の響きが徐々に調和していく様子を表現していました。
 次の発表は藤田弘文さんの二曲目の作品『交響曲第一番嬰へ短調“Stateless Folk Songs”』。一見単純なテーマが気づかないうちに変化していく展開は、作曲者も意識した面であり私達にもハッとした瞬間を与えてくれる面白さを持っているように感じました。一曲目の作品とはまた違った印象を持つ作品でしたが、どちらの作品に彼らしさが色濃く出ているのか気になる人もいたのではないかと思います。
 そして最後の作品となったのが井手上和央さんの『水中幻華』でした。水中を舞う金魚の力強さを表現した、という解説でしたが中には優雅な一面も見え、安心感と緊張感をほどよく得られる作品でした。一風変わった楽器配置も彼女の狙い通りになったのではないかと思います。

 今年の作曲専攻学内演奏会は、作曲者一人一人の個性が溢れ、作風も楽器編成もバラエティーに富んだ満腹感のある演奏会となりました。今後の作曲専攻生の活動にぜひご期待ください。
 次回は2015年5月13日に作曲専攻3年生による作曲作品発表会を予定しております。愛知県立芸術大学大合奏にて18:15会場予定ですので、ぜひ足をお運びください。

第716回学内演奏会 終演後の様子――『水中幻華』の配置(クリックで拡大)

(文責:M2年 上原)

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